余談話。
星野仙一。
俺は母子家庭で育った。貧しかったから野球をしたいと言えず、友達のグローブを借りて野球をしていたら、母親から自分の働く社宅の草取りをしたらグローブを買ってあげると言われた。
それから、毎日、学校から帰ると草取りをして、全部抜き終わると母親が1000円をくれた。
お店へ行くと、1000円のグローブの隣に1500円のものがあって、そのグローブが本当に良くて。お店のおじさんにお金を見せたら「1000円のしか無理だね」と言われたけど、いつまでも1500円のグローブをはめて試していたら、おじさんが「兄ちゃん、それ持っていっていいよ」と言ってくれたんだ。
俺な、こんなにも強い思いで野球をやりたくてやってきた。俺みたいな気持ちで野球をしている子がいたら教えて欲しい。「俺にできることがあったら、してあげたい」。
今は亡き厳しくも心優しき星野仙一。時代が変わった今でさえ少年時代の星野仙一のような子供達がいるかも知れない。いや、いるだろう。そんな子供達の手助けになれる活動が広まる事を願う。