今のカープの状況は、それまでの平和と緩みきった体制が、黒船来航でガタガタと揺れて、みんながアタフタする幕末の日本にそっくりじゃのう。

ただ決定的に違うのは、外から黒船が「来た」のではなく、むしろまともな助っ人が「来てくれなかった」ことと「連続押し出し」に象徴される自滅とで、自らを苦しめる結果になったこと、アタフタしているのが政府(球団)ではなく、人民(カープファン)である点。

まず、カープ球団が松田家のもので個人所有同然の一族経営である限り、ナニを言っても変わりゃせんよ。

それに、新井監督の頑固さも、残念ながら余り変化は望めんと思う。

前者については、ワシの同級生がむかし勤めていた子供向けの大手出版社が、やはり一族経営で、下で働く者はみな逆らう訳には行かん、と洩らしていた。サラリーマンは辛いよ、じゃ。

後者については、新井監督の意固地さは変わらんが、最終戦後の挨拶であれだけ大見栄を切ったんじゃから、来季は何か、形に残る変化は残さねばならん。
皆さんがクビを斬れと騒ぐコースケを筆頭とする、明らかに衰えたベテランは、最終的に結果を出さなければ、それなりの処遇をせねばならんじゃろ。

野党から「前言撤回の嘘つき」呼ばわりされている石破首相と違って、ウソが前提の政治家ではなくスポーツマンなんじゃからな。ここでは彼への人格否定に近い誹謗中傷が受けるようじゃが、我々もスポーツマンを見習って最低限の敬意と礼儀をわきまえて欲しいのう。

そうしてみると希望が無いようにも見えるが、日本代表にゾノちゃんと坂サマの名前があると、それがエエか悪いかは別として、やはり嬉しかったりする。
上がどうであれ、素質ある者、頑張っている選手が増えていけば、戦後の広島の焼け野原がこんなに素晴らしい都市へと発展したように、いつかは良くなるものじゃ。ひとつの雑草から、豊かな森は始まるんじゃ。

この幕末の動乱期が、新井監督の言う「改革の時」たる文明開化を経て、開けたカープに変わることを、ワシは長い目で見守りたい。建設的な分析はエエが、現状を感情的にぶった斬るだけの物言いは、新撰組のように、新しい時代に飲み込まれるだけじゃよ。