ホークス物語84
2003年のダイハード打線は、チーム打率297の驚異的な数字を残した。これは長いNPBの歴史の中で最高打率である。
村松259⇒324
川崎232⇒294
井口259⇒340
松中260⇒324
城島293⇒330
バルデス303⇒311
ズレータ217⇒266
柴原269⇒333
前年に比べ、全員の打率が見事に上がった。要因の一つは、新井宏昌打撃コーチの就任である。
彼は野村監督に見出され75年入団したが、監督解任後、近鉄に移籍。中西コーチの指導を受け、首位打者獲得。名球会入りの実績で引退した。オリックスコーチ時代、イチローを育てた事でも有名だ。(イチローの名づけ親でもある)
03年、王監督に招聘され、ドアスイングが目立った打者に徹底的にインサイドアウトのスイングを覚えさせた。そして、もう一つ大きかったのは、フリー打撃の改革である。
当時のフリーは、一人の打者がケージを独占し、5〜10分打ち続ける方式。これだと集中力が続かない。そこで彼は、二人ずつペアを組ませ、5スイングずつ打者を後退させたのだ。
効果はてき面。選手達は一球一球に集中し、大事に打つようになった。練習効果も上がり、試合での打ち損じが少なくなった。 シーズンに入ると鷹打線は打ちまくり、歴代2位のシーズン得点822を記録した。
オリックス戦は特に凄かった。
6月17日、21-11。
7月27日、26-7。32安打はリーグ新記録。
8月 1日、29-1。
9月14日、20-11。4度目の20得点は史上初。
王監督は『九州らしい攻撃型チームの優勝』と大変満足していた。優勝祝賀会で、王監督は新井コーチに声をかける『今年の優勝は、君のお陰だな。ありがとう。』
彼は法大時代、非力でスカウトの目に止まらず、社会人野球に進む予定だった。ノムさんが、たまたまテレビで見て『野球センスが良い。将来ホークスを助けてくれるかもしれん選手だ。』と、ドラフト2位指名した。 29年後、本当にチームを助けてくれたのだ。
今年も、こんな打線を期待したい……