ホークス物語93
2006年3月、第一回WBCが開催された。
松井・城島・井口は、所属チームとの関係で出場辞退となり、イチロー・松中・多村・川ア・西岡ら『スモールベースボール』で世界に挑んだ。
日本での第1ラウンド、韓国戦の前、イチローが『向こう30年、日本には勝てないと思わせたい』と話したのを、韓国メディアが侮辱発言と報道し、イチロー叩きの嵐となった。
その影響もあり、第1・2ラウンドで韓国に連敗した。韓国は勝利の後、東京ドームのマウンドに太極旗を立て喜んだ。イチローバッシングは更に盛り上がり、韓国は元より、日本でも『要らん事言いやがって』とネットで叩かれた。
第2ラウンド米国戦、西岡のタッチアップがフライングと判定されて敗れ、1勝2敗と追い込まれた。準決勝は諦めかけていた所、米国がメキシコに敗れ、奇跡的に進出できた。
準決勝の韓国戦、それまで沈黙を続けていた代打福留が、ついに目覚め先制2ラン。6-0で勝利。決勝でも、松坂の好投と打線爆発でキューバを10-6で倒し、WBC初代王者となった。
試合後、チームを牽引したイチローと王監督が抱擁し、日の丸が二人を包む映像が世界中に流れた。イチローは『世界一の打者の王さんを世界一の監督にしたかった。』と語った。
『イチローが韓国を侮辱』マスコミ・ファンから猛バッシングされているとき、王監督は『イチロー君には、侮蔑意図はない。』と養護した。韓国では王監督も叩かれたが、養護発言を繰り返し、イチローを守った。
解説のデーブ大久保は『この発言を聞いて燃えない選手はいない。「骨が砕けても活躍してやる」とイチローは思ったはずだ。』と述べている。
今年の山川問題もそうだったが、世間から非難され窮地の選手を、身体を張って守ってくれる。 王会長とは、そういう人物である。
山川も、そう思っているだろう……